今まで色々な奴との出来事を紹介してきたが、今回は一番親しい人物を紹介したいと思ってるんだ。
もちろん、今まで紹介してきた連中とも親しい関係だが、今回紹介する人物は俺と好きなものが一緒だから話もよく合うんだ。
同じ会社に勤めているが部署が違うため、なかなか話す機会がなくて困っている。
部署が違うだけでも、顔を一日合わせないこともある。
俺は喫煙所で煙草をふかしながら、ぼうっとしていた。
何だか、今日は仕事量が少なくて退屈と言うかやりがいがないんだよなぁ。
「アメックス、よっ!」
「おっ、びっくりした!」
「アメックスと顔合わせるの久々だな!」
彼が紹介したかったOPクレジットカード。
年会費は初年度無料で翌年から500円かかるようになっていて、小田急線や小田急
グループの利用が多い人にオススメだと言われている。
還元率は、小田急百貨店で最大10%、OdakyuOXで最大2.5%、小田急線乗車で最大7%と圧倒的に高くなっているのが魅力。
OPクレジットカードは、俺がこの会社に来てから最初に仲良くなった奴なんだ。
思いやりがあって、明るくて俺と同じで小田急線を指示している。
仲間であり親友でもあり、今では相当親しい関係になっているんだ。
「アメックスも小田急線沿いに引っ越したら?
毎日小田急線乗れるのっていいだろう?」
「実は最近、俺小田急線の混雑が気になり始めてさ・・・。
この間、他の連中と東京メトロの旅に繰り出したわけさ」
「あっ、まさかお前小田急線を裏切るつもりなのかー!」
「裏切ってないし、そのつもりもないぞ!
ただ、参加しなきゃいけない雰囲気だったっていうか」
そう、別に小田急線を嫌いになったわけではない。
よくよく考えてみれば、あの混雑が嫌だなと思っただけで裏切るつもりはない。
東京メトロの旅に繰り出したが、俺にはあの魅力が響かなかったわけだし・・・。
小田急線はあの青いラインがカッコイイと俺は思ってる。
他にもまだ魅力はあるけど。
OPクレジットカードが、頬を膨らませて怒っている。
そう言えば、こんな表情を見るのは初めてかもしれない。
何度も違うと説明したらわかってくれたようで、やっと落ち着いた。
「そうだ、じゃあ俺たちも小田急線の旅をやろう!」
「マジかっ」
「小田急線ってグッズもあるもんな!」
「そうそう、小田急もあるんだよな!
東京メトロのグッズもなかなか変わったのがあったぞ」
「いーや、小田急の方がすごいぞ!!」
OPクレジットカードが、力一杯に言う。
それだけ小田急線を愛しているという事だから、深く突っ込むのはやめよう。
どちらがすごいのか、それは自分がどちらを好きなのかという事で変わってくると思う。
どれが一番とか本当は無くて、人によって違うものなんだとわかった。
そりゃあ、俺も小田急が好きだから一番だとは思うけどな。
それに、OPクレジットカードは小田急グッズをそろえているから、結構すごい。
俺も好きだけど、さすがにグッズを集めることには興味がない。
集めてもかさばってしまうだろうし・・・。
OPクレジットカードの家を以前訪ねた時、すごい量の小田急グッズが置かれていたのを覚えている。
「アメックスの為に、何かグッズプレゼントしてあげようか?」
「おっ、小田急のグッズならやっぱり模型だろー!」
「本当はプラレールが欲しいんだけどね!
小田急もプラレール出さないかな~」
確かに・・・俺もプラレール欲しい!
やっぱり、電車が好きな奴にとっては夢と言うか憧れだよな。
実際に走っている姿を見るのも楽しいけど、家で模型としてみるのもまた違って良さがある。
一度でいいから、鉄道博物館とか行ってみたいものだ。
隣でOPクレジットカードが目を輝かせながら、スマホで小田急のグッズを見ている。
早速確認しているあたり、本当に小田急が好きなんだとわかる。
俺も好きだけど、ここまでの愛情はないんだよなぁ・・・。
「さーて、仕事に戻るか~」
「アメックス、今度の日曜日空けといてもらえる?」
「ああ、わかった」
そう約束をして、俺たちはそれぞれの業務へと戻った。
恐らく、小田急の旅に行くつもりなんだろうな。
それはそれで俺も楽しみだけど。
小田急の旅・・・ということは、きっと待ち合わせも小田急が通っている駅なんだろうな。
そして日曜日。
俺たちは午前10時に新宿で待ち合わせをした。
どうして電車が好きな奴っていうのは、待ち合わせ時間が早いんだろうな・・・。
何だかまだ眠くて、頭がすっきりしない。
すると、OPクレジットカードがやってきて元気いっぱいだった。
相変わらずのテンションの高さだな!
「お待たせ、さっ行こう!」
「おう!」
眠たい気持ちを抑えるために、俺は声を大きく出した。
少しずつ眠たい気持ちがなくなり始めて、やっと頭の回転が速くなってきた。
OPクレジットカードの後についていくと、小田急グッズショップについた。
そう、小田急グッズショップは新宿と和泉多摩川にある。
新宿店の方が長く営業しているから、ゆっくり商品を見ることが出来る。
色々なものが売られていて、目移りしてしまう。
OPクレジットカードも、興奮しながら商品を手に取っている。
「これなんかいいんじゃないか?」
OPクレジットカードが持ってきたのは、8000形の模型だった。
それはすごくカッコよくて、一目で俺は気に入ってしまった。
すぐさま手に取って、色々確認していくが本当にいいと思う。
OPクレジットカードは、そんな俺に触発されたのか違う模型を手に取って見ていた。
実際にレールで走らせることが出来ればいいのにな・・・。
俺は模型を購入したが、OPクレジットカードはロマンスカーの巾着袋やチャームを購入していた。
小田急と言えば、やっぱりロマンスカーだもんな!
「ロマンスカーって、便利でいいよな!」
「ああ、ロマンスカーは疲れた時に乗ったりしてるよ。
たまに停車しない駅があるから、そこは気をつけなきゃいけないけど」
「確かに、乗り慣れてないと停車駅はわからないよな・・・。
俺はやっと覚えてきたところだけどさ」
ロマンスカーは、すごく便利な列車ですぐ帰りたい時や疲れて電車に乗りたくない時に利用することが多い。
座って帰ることが出来るから、すごく便利なんだ。
普段から小田急を利用している人は、分かってくれるかもしれない。
俺たちはロマンスカーについて語り合いながら、近くのカフェに入った。
二人して同じコーヒーを頼み、再び小田急について話し始める。
「あの模型、実際に走らせることが出来るといいよなー・・・」
「アメックスもそう思ってたんだ?
実は俺も同じことを考えてたんだけど、売り出す気配ないよね」
「売り出したら、俺たちだけじゃなくて子供だって喜ぶのにな。
やっぱりコストの問題とか、色々あるんだろうな」
子供用のプラレールはいくつか売られているが、鉄道会社からは出されていない。
出したら間違いなくヒットすると思うけど、大人の事情とやらがあるんだろう。
自分で作るには大変だし、それなりに金もかかるだろうから難しい。
展示会限定とかで、誰かが作ってくれればいいんだけど、それも無理そうだ。
二人してため息をつくことしかできなかった。
工作が好きとか電気関係の知識さえあれば、なんとなく出来そうな気もするが・・・。
「よし、じゃあ俺が作ってみようかな!」
「OPクレジットカード、お前知識あるのか?」
「いや、ないんだけど少し勉強してから始めてみようかなってさ。
それでだめだったら諦めるしかないだろ?」
「何事も挑戦、か・・・」
OPクレジットカードは、やる気満々。
俺に出来ることはしてやりたいが、下手に手を出して邪魔したくない。
だが、何もしないのは嫌だから、俺に出来ることがあれば何でも言ってくれ、と伝えた。
もし、実際に作ることが出来たらそれはかなりすごいことだ。
期待しすぎてしまうとOPクレジットカードの負担になりかねないから、内心楽しみにすることにした。
しばらく日にちが経ち、俺は材料を集めてはOPクレジットカードに渡していた。
思っていたよりも、順調に進んでいるらしくびっくりしている。
OPクレジットカードは知り合いと協力をしながら、作っている様子。
俺もちゃんと手伝いたいと言ったけど、最初はアメックスに見せてやりたいと言われて、手伝えなくなってしまった。
だから、毎回材料だけを手渡している状態。
俺はそんなことを考えながら、仕事を片付けていた。
出来上がるまで、まだ時間がかかるだろうから何か差し入れでも持っていこうか。
俺は缶コーヒーを持って喫煙室へと向かう。
そこにはOPクレジットカードがタバコを吸っていて、そっと缶コーヒーを差し出した。
「アメックス、ありがとな」
「いいよ、俺なにもしてやれてないしさ。
それで、調子の方はどうなんだ?」
「そのことなんだけど、アメックスさ、次の土曜日来てくれないか?
場所は俺の家、場所はわかってるよな?」
「もちろん、分かってる」
OPクレジットカードは、自信満々に言う。
その言い方からして、すごくいい出来に仕上がったのだとわかる。
俺も楽しみだ、出来上がったプラレールを見るのが。
あっという間に土曜日になって、OPクレジットカードの家を訪れた。
真っ直ぐ廊下を進んでいくと、そこには床に敷かれた大きなプラレールがあった。
おおおお!!
それはすごく様になっていて、感動してしまった。
俺が驚愕してみていると、OPクレジットカードが自慢げに笑った。
これはすごい・・・売られているおもちゃよりは質が低いかもしれないけど、俺から見ればおもちゃ以上だった。
どうやって作りだしたんだろうか。
「アメックス、その小田急走らせてみて」
俺はOPクレジットカードに言われて、スイッチを入れてみた。
すると、電車がレールを走り始めて動き出した。
おおおお!!
感動しながら俺が楽しんでいると、OPクレジットカードが俺の頭に何か被せてきた。
ん、一体何だ?
俺がキョトンとしていると、OPクレジットカードがクラッカーを鳴らした。
びっくりして俺はそのまま固まってしまった。
「アメックス、今日誕生日だろ?
おめでとー!」
え・・・すっかり忘れていた。
カレンダーを確認すると、今日は俺の誕生日だった。
じゃあ、手伝わなくてもいいよって言ったのは・・・このため?
自分の誕生日をすっかり忘れていたから、びっくりしている。
俺が固まっていると、OPクレジットカードが俺の髪をくしゃくしゃにしてきた。
「やっぱりね、忘れてんじゃないかと思ってたんだよ!
でさ、このプラレールをアメックスにプレゼント!」
「いいのか、だってせっかくOPクレジットカードが作ってくれたのに!
俺だけじゃもったいないから、俺とOPクレジットカード二人のものにしないか?」
「俺もいいのか?
アメックスは独り占めしたいんじゃないか?」
「いや、一緒に楽しんだ方がいいじゃん!
OPクレジットカード、本当にありがとな!!」
俺たちはお互いに笑いあいながら、プラレールで遊んだ。
子供みたいに飽きずに一日中遊んで、写真を撮ったりして。
童心に返れたみたいで楽しかったし、OPクレジットカードとの絆も少し強くなったような気がする。
同じ小田急のファンで、同じ時間を共有できて本当に嬉しかった。
今度は俺がOPクレジットカードの誕生日に、何か特別なことを計画しよう!