実は最近、コンビニへ通う事にハマっている俺。
どのコンビニが一番好きかと言うと、セブンイレブンとファミリーマートなんだ。
他のコンビニも利用したりするが、一番利用するのはこの二つかな。
セブンイレブンはお弁当が充実しているし、ファミリーマートはデザートが一番揃っていると思う。
だから、今では週に何度も通い詰めている。
今日の昼もファミマでも行こうかなー、近くにファミレスもあるけど時間がなくなってしまう。
「あれ、アメックスさんもコンビニでお弁当ですか?」
「ああ、今日は弁当なんだ。
いつもは違うんだが、最近コンビニにハマっててさ」
「それなら、ファミマでも行きませんか?
たくさん品揃えがあるから、嬉しいですよね!」
やってきたのは、ファミマTカードだった。
年会費が永年無料で、TSUTAYAのポイントを貯めることができるもの。
ファミマやTSUTAYA、ガストをよく利用する人にとってはマストアイテムだと言われているカードなんだ。
ファミマTカードは、ファミマやガストが大好きでよく通っているらしい。
気配りも出来るし細かいところまで見てくれているが、ちょっと抜けている。
そこは愛嬌でカバーできているから問題ないと思うけどな。
コドモっぽいわけではないけど、なんかほんわかしていて面白い。
「アメックスさんって、サンドウィッチそんな食べるの?」
「ああ、いつもサンドウィッチは4個買ってる。
フルーツサンドとかうまいよな!」
「アメックスさん、本当に甘いものが好きなんですね。
私もフルーツサンド好きですケド、そんなに食べられないです」
「女子の方がたくさん食べそうなのにな。
あとは半熟玉子の親子丼だな!」
俺がそう言って商品を取りに行くと、ファミマTカードは本当に驚いた表情をして俺を見ているばかりだった。
そんなに驚くことだろうか・・・もしかして食べ過ぎ?
だけど、しっかり食べないと途中で空腹になるからな・・・バランスって大事だな。
そう思って、俺はフルーツサンドを一つだけ返却した。
ファミマTカードは、おにぎりとドリンクを購入していた。
そんなに食べないんだな・・・まぁ、俺は男だしそもそも食べる量に差があるか。
「そういや、ファミマTカードってさよくガストにいるけど飽きない?
いつもどんなメニューを頼んでるんだ?」
「私はガスト好きなので、毎回行っても飽きませんよ。
オムライスとかフレンチトースト、チョコレートパフェも頼みますよ」
「ガストのチョコレートパフェって、気になってるんだよなー。
プリン乗っててさ、すっげーうまそう!」
「ええ、すっごく美味しいですよ!
私、いつも2つ頼んじゃうんですよね」
・・・2つ?!
一つでも結構大きさがある気がするけど、2つも頼むのか!
あ、でも俺もなんだかんだ言って昼に結構食ってるんだよな・・・。
女子はやっぱり甘いものが好きで、別腹なんだろうか。
生クリームって食べ過ぎると気持ち悪くなったりするけど、ファミマTカードは平気みたいだな。
俺もそのくらい平らげたいが、きっと無理だな・・・。
相当空腹じゃない限りは、食べられそうもない。
「あっ、一緒にパフェ食べに行きますか?
私、ちょうど甘いものが食べたいなって思ってたんです」
「おう、俺が一緒でもいいのか?」
「ええ、アメックスさんなら大丈夫です!
ぜひ、一緒にガストのパフェについて語り合いましょ!」
ガストのパフェについて語り合う・・・なんかすごいな、それ。
恐らく、そんなことで語り合うのはガストのパフェ開発している人間だけだと思う。
一般人で語り合っている人なんて、そうそういないはずだ。
ファミマTカードと一緒にパフェを食べに行く約束をして、昼休みが終わった。
食べに行くのは早い方がいいという事で、今日仕事が終わってから行くことになった。
甘いものは疲れた時にいいと言われているが、実はその逆らしい。
ストレスが溜まっているときに甘いものを摂取してしまうと、太りやすいとか色々あるみたいだから避けるようにして来た。
しかし、今日は少し疲れてしまった。
たまには、甘いものを食べてもいいと思うし、今日は思う存分食べよう。
就業時間を迎えて、俺はデスクを片付け始めて行く。
残業も特にないし、あとは片付けて帰るだけだ。
「アメックスさん、行きましょ!」
「おう!」
「なんだよ、お前ら~!
二人そろってデートか?」
「ヒューヒュー!」
周囲が俺たちを見て、冷かしてくる。
確かに、この光景まるでデートのようになっているが、実際は違う。
何て言うか・・・ガストパフェ同好会みたいな?
ファミマTカードは、恥ずかしかったのか顔を少しだけ赤らめて黙ってしまった。
その姿を見て周囲が調子に乗り始める。
俺はメンタル弱くないから平気だが、このままだとファミマTカードが可愛そうだ。
「これからガストでパフェ同好会やるんだよ!
どうせお前らにはわからんだろうがな!!
っははは!」
「なんだって!!
パフェ同好会って・・・早く言えよ~!!」
「そうよ、私だってパフェ好きなんだから!」
なんだかんだ言って、みんなも一緒に来ることになった。
みんな意外とパフェが好きなんだな。
全く興味がないのかとばかり思っていた。
結局、みんなでガストへ向かう事になり、嫌がらせの如くみんなしてチョコレートパフェを注文した。
きっとキッチンでは多くの店員が、パフェに駆り出されている事だろう。
そして、テーブルにたくさんのパフェが運ばれてきた。
皆一つずつ取っていき、パフェで乾杯をする。
きっと周りから見たらここだけ異様な集団なんだろうな・・・。
もぐもぐ食べ始めていき、語り始める。
「やっぱり、この生クリームとプリンだよな!」
「いや、チョコアイスよ!
いつ食べてもホント美味しいわ~!」
感想を言い合って、改めてパフェの魅力や味を再確認していく。
ファミマTカードは、本当にパクパクと美味しそうにパフェを口へと運んでいた。
俺も夢中でパフェを食べていて、全く魅力について語っていなかった。
最初はあんなにもごちゃごちゃ語っていたのに、今ではみんな美味しさに魅了されて黙って食べ続けている状態だ。
やっぱり語るよりも食べる方が断然いいな。
「パフェ追加で!」
「俺も!」
「え、じゃあ、私も!」
パフェを再び頼み始めるから、俺はただただ驚くばかり。
皆結構食えるんだな・・・。
女子だけだと思っていたが、男子も結構食べてるし。
俺も
ようやく一つ目が食べ終わって、違うパフェを頼もうとした。
すると、みんなから無言で見られた。
それですぐに分かったんだ。
チョコレートパフェ以外のパフェを頼むなと言われていることを。
だけど、うまいからいいか。
そう思って、俺は再び同じパフェを注文した。
「アメックスさん、パフェのプリン下さいっ!」
「駄目だ、これは俺の幸せなんだっ!!」
「あーっ、それ私のブラウニーなのに!」
「へへっ!」
皆で取り合いが始まってしまい、必死にみんなが自分のパフェを守っている。
美味しいから、みんな取られまいとして頑張っている。
すごかったのは、みんな最低でも2つパフェを食べていたことだ。
皆でグダグダ話していると、ガストに上司たちがやってきた。
「みんな、隠れろっ!」
一気に変装したりして、それぞれ身を隠していく。
別に隠れる必要はないかもしれないが、隠れてしまったのには理由がある。
それは、その上司が一緒に居る相手が女性で、何だかよそよそしかったから。
あれって・・・一般的に言うデートじゃないか?
普段、後輩などに言い方がきつい上司だったからみんなびっくりしている。
あんなに言い方がきつい奴でも、デートなんかするのか・・・。
全く女に対して興味がなかったのに。
「普段言い方きついから、フラれるんじゃないか?」
「ねー、言い方きついから絶対フラれるって!
面白そうだから、ちょっと見て帰らない?」
「さんせーい!」
俺たちは、上司たちの恋の行方を見守った。
たぶんうまくいかないと思うけど、うまくいったら面白いな。
何を話しているのかまでは聞こえないが、あの上司がタジタジ。
その姿は新鮮で、思わずみんなして携帯のムービーで撮影した。
結局、うまくいかなかったらしく女性があきれた表情をして帰ってしまった。
一人になったその上司は、何かを店員に注文していた。
なんだ・・・何を頼んだんだ?
しばらくして、運ばれてきたのは俺たちが頼んだチョコレートパフェだった。
マジかよ!!
それも幸せそうな表情をしながら、口へと運んでいる。
俺たちはニヤリとして、そのまま上司の元へと向かった。
率先を切ったのは、ファミマTカードだった。
「先輩もパフェがお好きだったんですね!
もっと早く言って下さればよかったのに~」
「言い方がきついわりには、甘いものがお好きなんですね?
俺たちと仲間じゃないですか~、嬉しいですよ、仲間が増えて!」
「ち、違う・・・これはオーダーミスで!」
「隠しても無駄ですよ!
それにあの女性にフラれてしまったことも、お見通しです!」
ファミマTカードたちが一斉にいうものだから、いつも言い返してくる上司が黙ってしまった。
内心、俺も楽しんでいたけどちょっとかわいそうで何も言わなかった。
パフェを食べに来たと言うのに、意外な人物と出会ってしかも色々見てしまう事になるとは・・・。
何も見なかったことには出来ないが、実は今後この上司もパフェ同好会に強制参加させられることになる。
そのことを、この上司はまだ知らない。