俺もそろそろ車買って通勤しようかなー・・・。
毎日電車通勤だと朝が大変だし、帰りだって帰宅ラッシュに巻き込まれてしまう。
反対方向の電車はいつも空いているというのに。
全く、これだから乗り物は嫌なんだよな・・・飛行機は好きだけど。
俺は昼休憩で飛行機の写真集を眺めながら、だらだら過ごしている。
飛行機っていいよな、あれを開発した人は本当に天才だと思う。
あんな鉄の塊が浮くんだから。
中にはそれが怖いってやつもいるけど、何回か乗っていれば慣れてくる。
時には不幸な事故が起きてしまう場合もあるが、それはめったにない。
「あれ、飛行機の写真集ではありませんか!
私にもぜひ見せてもらえませんか?」
「ああ、いいよ」
やってきたのはJALカードだった。
初年度年会費無料でマイルが貯まりやすい、旅行や出張が多い人にオススメのカード。
旅行傷害保険も充実していて、空港内での優待サービスも充実しているんだ。
それに、紳士的と言うか口調や態度が丁寧で、周囲からの信頼も厚い。
空港とか飛行機が好きで、旅行も結構しているし、俺も一緒に言ったことがある。
お互い旅行が好きだから、写真を撮ってきて見せ合う事もしている。
「この間オーロラを見てきたのです!
こちらがその時の写真です、みて下さい!」
出された写真には、きれいなオーロラが写されていた。
緑とか青とかきれいなカラーグラデーションが素晴らしくて、見入ってしまった。
オーロラってまだ生で見たことが無いけど、写真でこんなに美しいなら実物はもっと美しくて見入っちゃうんだろうな・・・。
JALカードが思い出したのか、すごく幸せそうな表情をしている。
いいなぁ、俺もいつかそんな光景を見てみたい。
「よろしければ、今度またご一緒しませんか?」
「え、一緒に旅行って事か?」
「嫌ですか?」
「いや、ぜひ一緒に行かせてくれないか。
俺ももっとこんな光景を自分の眼で見てみたいんだ!」
そういうとJALカードが優しく笑みを見せてくれた。
JALカードはおとなしくてあまり怒らないが、感情はしっかり持っている。
優しいし頭の回転も早くて、俺なんて全く敵いそうにない。
仲良くなったのは、俺から声をかけたのがキッカケ。
あいつが一人で休み時間に飛行機や海外旅行の本を読んでいたから、声をかけたんだ。
それから仲良くなって、一緒に旅行へ行ってさらに仲良くなって。
ケンカなんてしたことないし、JALカードが大人の対応をしてくれるから、感情的な俺とうまくいっているのかもしれないな。
「アメックスさん、今度はどこに行きましょうか?」
「うーん、マレーシアなんてどうだろ?
ちょっと海を見てみたいんだよなー」
「いいですね、マレーシアにしましょうか!」
「おう!」
すっかり二人して旅行気分を味わっている。
まだここは日本で昼休みだっていうのにな。
日程は後で詳しく決めることにして、俺たちは仕事へ戻った。
やっぱり差支えが無いように、土日で行くか連休で行くしかないだろうな・・・。
幸いにも今月は祝日があり、土日と合わせて3連休になっている。
少し急だけど、JALカードの予定が平気だったらこの連休にするか!
あっという間に就業時間を迎えて、俺たちは近くの居酒屋へ向かった。
連休の話をすると、JALカードが快く受け入れてくれた。
マレーシアって、どんなところなんだろうか。
JALカードもまだマレーシアには行ったことが無いらしい。
「楽しみですね、マレーシア!」
「おう、すっげー楽しみ!」
二人して期待を膨らませて行く。
まだ訪れた事の無い土地だからこそ、大きな期待をしてしまう。
海がきれいなのは知っているけど、実際に見てみたい。
もう写真を見て満足するのは嫌だからな。
旅行へ行ける時に行って、写真とか思い出を作っておきたい。
それから日にちが経って、俺たちは空港で待ち合わせをした。
普通の人だったら広すぎてゲートが分からなくなったりするだろうけど、俺たちはよく海外旅行するし空港や飛行機が好きだから迷わず、スムーズに待ち合わせすることが出来た。
搭乗ゲートへ行き、二人して飛行機へと乗り込む。
そういや、気圧の変化で耳がおかしくなることがあるが、唾を呑み込めば直る。
この感覚が嫌だと言う人も多いが、これも慣れだ。
「着いたら、まずホテルにチェックインして荷物を預けましょう。
それから自由行動にしましょうか」
「ああ、さすがJALカード!
ばっちり計画立ててくれて、ホント助かるよ」
「こういうのは、計画的に行かないと全て観光できませんよ!」
「なんか学校の修学旅行みたいだな!
JALカード、担任の先生みたいじゃないか」
飛行機の中でひそひそ話しては、互いに笑い合う。
男同士で旅行なんて変だと思うかもしれないが、純粋に楽しい。
分かり合える相手と一緒なら、どこへ行っても。
それから少し仮眠をとることにした。
その数時間後。
無事マレーシアに到着して、俺たちは手続きを終えて地に立った。
ここが、マレーシア?
とうとう来てしまった、マレーシアに。
「それでは、行きましょうか!」
「おう!」
それからの事は、本当に分刻みのスケジュールだった。
見るところが多くあって時間を少しでも無駄にしないよう、JALカードが時間管理をしてくれて、見るべき場所はほとんど見てきた。
だから疲れも少したまっているけど、そんなのへっちゃらだった。
現地の人にここは見ておいた方がいいと言う場所はありますか?と聞いてみると、“レダン島がいいよ”と言われた。
しかし、アクセスが不便なため余程何かない限りは行かないと言っていた。
でも、美しいのならやっぱり見ておきたい。
「なぁ、JALカードはレダン島気にならないか?」
「そりゃあ、私も気になりますよ」
「明日、行ってみるか?」
「ええ、行きましょう!」
俺たちはそう約束して、早めに休むことにした。
今日は朝早かったから、少しでも早く寝ようと朝から二人で決めていた。
ホテルも綺麗だし、なかなか快適で過ごしやすかった。
翌日、俺たちはレダン島へと向かう事にした。
空港へ行くと、今ではアクセスがしやすくなっているらしくそんなに大変じゃないと言われて俺たちはすぐに準備をした。
他の人達も、マレーシアに来たなら一度は見ておいた方がいいと言っていたから。
一体どんな景色が待っているのだろうか。
JALカードもウキウキしているのが見てわかる。
普段、あんまり感情を出さないJALカードがこうなっているんだ。
相当嬉しいし期待もしているんだろうな。
そして、色々ありながらもレダン島へ到着した。
・・・・・・っ!!
「すごいな・・・真っ青だ」
「真っ青ですが透明感がありますね・・・美しい」
俺たちは息をのんでしまった。
こんなにもきれいな海があるなんて、全く知らなかったから。
これが東南アジアで1位2位を争うビーチ・・・。
日本ではまだ知名度の低い穴場すっとだと言われている場所。
俺もJALカードも、カメラを手にして写真を撮りまくった。
こんな美しい景色、今までに見たことが無い。
綺麗な青い海と雲一つない青空・・・・お!?
「おい、JALカード、そら見て見ろって!!
すっげーぞ!!」
「あっ・・・虹ではありませんかっ!!」
空に綺麗な虹がかかっていて、それがさらに海の美しさを引き立たせていた。
この景色も写真に収めて、俺たちはただただその光景に目を奪われた。
なんてきれいなんだろう・・・日本じゃとても見られない景色だ。
すると、JALカードが隣で泣き出した。
おいおい、どうしたんだ?
俺が声をかけようとしたら、JALカードが笑った。
「美しかったから、つい泣いてしまったんです」
「馬鹿だなぁ、JALカードは・・・。
俺までつられて泣きそうになるじゃないか」
「すみません」
JALカードが泣きながら笑って言うから、俺も泣きそうになった。
あまりにも景色が綺麗すぎて、疲れていた心が洗われるような気分。
そんな俺たちを見た、現地の人達が笑った。
見て楽しむだけではなくて、ここではシュノーケリングも楽しめるらしい。
せっかくだから、シュノーケリングも楽しむことにした。
綺麗な海へもぐると水がすきとおっていて、中が良く見える。
色鮮やかな魚たちが優雅に泳いでいて、本当に癒される。
ダイバーからエサを受け取って持っていると、魚たちがたくさんよって来た。
何かこれはこれで貴重な体験だな・・・・来られて良かった。
JALカードも隣で、魚たちと楽しく戯れている。
っていうか、すっげー寄られてんじゃん!!
JALカードってなんかオーラが出てるんじゃないか?
しばらく、シュノーケリングを楽しんだ俺たちは遊び疲れてホテルへと戻った。
「今日は楽しかったな!」
「ええ、とても楽しめました!
美しいビーチにシュノーケリングまで楽しめて、幸せです」
「確かに、俺もその気持ちわかる」
俺たちはそう言って笑い合った。
その後、俺たちは日本へ帰り会社の連中に写真や土産を配った。
皆あの写真を見て感嘆の溜息をついて見入っていた。
俺もJALカードもマレーシア旅行の話をみんなに聞かせて、思い出を振り返った。